新型コロナウイルスによる感染症の世界的な拡大により、日本でも7都道府県で緊急事態宣言が出されるなど、未だ終息の出口が見えない中、事業の休業等による経済的な不安などが増してきています。

事業者向けの支援内容に引き続き、今回の記事は、従業員の方向けの支援制度のご案内になります。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者向けの所得保障制度です。
病気やケガの療養のため仕事を休んだ場合に、支給額を受け取ることができます。

新型コロナウイルス感染症に感染し、その療養のために働くことができない方も、利用することができます。

  • 自覚症状は無いが、検査の結果「新型コロナウイルス陽性」と判定を受け入院している
  • 発熱などの自覚症状があり、療養のために仕事を休んでいる

等の場合についても傷病手当金の支給対象となりえます。

傷病手当金制度の概要は以下の通りです。

支給要件① 病気やケガの療養のために働くことができないこと(*1)
② 4日以上仕事を休んでいること(*2)
支給期間支給を始めた日から最長で1年6ヵ月間
1日あたりの支給額傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近12月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額

*1)業務又は通勤に起因する病気や怪我は労災保険給付の対象
*2)療養のために連続して3日間仕事を休んだ後(待期期間)、4日目以降の仕事を休んだ日について支給されます。待期期間には有給休暇、土日祝等の公休日を含みます。

この傷病手当金は、会社員や公務員など、健康保険組合に加入している方の制度で、国民健康保険には傷病手当金制度はありません

また、この傷病手当金を受けている中で退職をした場合でも、その後、仕事に就いていない期間は支給を受け続けることができます。

休業手当

労働基準法第26条では、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、労働者の最低限の生活の保障を図るため、会社は、休業期間中に休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければならないとされています。

休業手当の支払いが必要となる主な例

  • 会社が、発熱などの症状があるという理由だけで、労働者に一律に仕事を休ませる措置をとる場合
  • 会社が、「帰国者」や新型コロナウイルス感染者との「接触者」である労働者について、労働者が「帰国者・接触者相談センター」に相談した結果、職務の継続が可能と言われたにもかかわらず、会社の判断により休ませる場合

休業手当の支払いが必要とならない例

  • 発熱などの症状があるため、労働者が自主的に会社を休む場合
  • 都道府県知事が行う就業制限により、労働者が休業する場合

休業手当の額

平均賃金(休業した日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した額※)の100分の60以上の額

※賃金が時給制や日給制、出来高払い等の場合には、最低保障額の定めがあります。

緊急小口資金・総合支援資金

新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業等により生活資金でお悩みの方々へ、特例貸付を実施しています。「緊急小口資金」「総合支援資金」の2つの生活福祉資金貸付制度聖です。
従来の要件を緩和し、支援を受けられる対象世帯が広くなっています。

資金を借り入れる制度ですので返済は必要ですが、1年以内の返済猶予期間・無利子・保証人不要という大きなメリットのある制度です。

緊急小口資金

緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に少額の費用の貸付を行います。主に休業された方向けの制度です。

対象新型コロナウイルス感染症の影響を受け、
休業などにより収入の減少があり、
緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯
貸付上限学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円以内
その他、10万円以内
据置期間1年以内
償還期間2年以内
利子無利子
保証人保証人

総合支援資金

生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行います。主に失業された方向けの制度です。

対象新型コロナウイルス感染症の影響を受け、
収入の減少や失業等により生活に困窮し、
日常生活の維持が困難となっている世帯
貸付上限(2人以上)月20万円以内
(単身) 月15万円以内
貸付期間原則3か月以内
据置期間1年以内
償還期間10年以内
利子無利子
保証人保証人

※ 原則、自立相談支援事業等による継続的な支援を受けることが要件となります。

緊急小口資金・総合支援資金の相談・申し込み先

これらの制度の相談・申し込み先は、各市町村の社会福祉協議会になります。

都道府県・指定都市社会福祉協議会のHPリンク集